出版事業 心が動くマネジメント物語
500社超で人が育つ現場づくりに携わってきた「上司力🄬」提唱の第一人者FeelWorks代表前川が、管理職という役割を、「罰ゲーム」から「人を育てる”最幸”の喜び」へと再定義するために執筆した渾身の著作!
心が動くマネジメント物語
-誰も教えてくれなかった管理職の喜び18話
FeelWorks代表 前川孝雄
若手の8割が管理職を敬遠するなど「罰ゲーム化」するマネジメントが社会問題となっています。また人的資本経営やリスキリングなど、論理優先の施策で現場は疲弊しています。本書は、マネジメントの本質を「人を育て活かす喜びを得られる仕事」として、実際にあった上司と部下の“心が動いた”物語を通じて再提示。今の日本に最も必要な「リーダーシップへの希望」を届けます。
目次
はじめに:管理職は職業人生の中で〝最幸〟の仕事
第1章 STEP1 上司と部下の絶対的な信頼関係を育む
物語〈1〉後悔の10年後:10年前の気持ちを伝えてくれた元部下
物語〈2〉飲みニケーション:上司の本音を知って仕事の姿勢が一変した若手社員
物語〈3〉役員の一言:懲戒覚悟のミスに役員からの一言で知った人を動かす真理
【部下の心を動かす心理学①】組織の成功循環モデル
第2章 STEP2 アドバイスより傾聴を徹底する
物語〈4〉おしぼり事件:泣きながら部下に投げつけられたおしぼり
物語〈5〉転職相談:やっと育った部下からの転職相談
物語〈6〉袋叩き会議:猛反発していたシニア部下が心強い味方に
【部下の心を動かす心理学②】ラポール形成
第3章 STEP3 仕事の意義や目的を理解させる
物語〈7〉応援歌:退職寸前だった部下が前例のない挑戦をやり遂げた
物語〈8〉最期の願い:末期患者に寄り添った看護師長
物語〈9〉支店長の情熱:若手部下の心を動かした上司のあきらめない姿勢
【部下の心を動かす心理学③】内発的動機付け
第4章 STEP4 小さなキャリアの階段を作る
物語〈10〉スタンディングオベーション:メンタル不調から立ち直り大ブレイク
物語〈11〉深夜の悔し涙:業績より育成にこだわった上司に感謝
物語〈12〉すくすく系:もがく部下を見守り続けた上司
【部下の心を動かす心理学④】EQリーダーシップ
第5章 STEP5 「誰かの役に立っている」実感を演出する
物語〈13〉呼び名:失意の果てにIターン先で知った働く喜び
物語〈14〉オンリーワン:個を活かす上司
物語〈15〉ティッシュ配り:街頭ティッシュ配りがメンタル回復に繋がった
【部下の心を動かす心理学⑤】二要因理論
第6章 STEP6 業務より一人ひとりを活かす組織を完成させる
物語〈16〉小さな会社の大きな夢:地方の小さな酒蔵に2000人の若者が応募
物語〈17〉部下は師匠:自然体リーダーシップで人を活かす
物語〈18〉落ちこぼれチーム:大儀で落ちこぼれたちが1つのチームに
【部下の心を動かす心理学⑥】ピグマリオン効果と成長マインドセット
おわりに:脱!管理職は罰ゲーム。マネジメントに喜びを
本書の特徴
◆奇跡が起きた18の職場ドラマを「6つの上司力」に沿ってそれぞれ3編ずつ紹介
全て実話をもとにした上司と部下の等身大のエピソードを掲載。上司が試行錯誤をしながら、部下との絆をいかに紡いでいったのか。生々しい物語は、決して綺麗事だけではないマネジメントの真実を教えてくれます。また掲載と同様の物語が、読者自身の自己研鑽によって再現可能になるようにFeelWorksが「上司力®研修」で提唱する「一人ひとりを活かす6つの上司力」の構造にあてはめて解説します。
◆部下の心を動かす7大心理学解説
掲載している物語が属人的な話ではなく、普遍的なマネジメントやモチベーションに関する心理学の理論といかに関連しているかも解説します。信頼関係形成や内発的動機付けやリーダーシップ理論などを併せて知ることで、心を動かすマネジメントを他人事ではなく、自分自身の再現性のあるマネジメントスキルとして理解し、身に付けることができます。
書籍情報
心が動くマネジメント物語
著者:前川 孝雄
出版社:株式会社FeelWorks
発売日:2026年5月18日
仕様:オンデマンド(ペーパーバック)および電子書籍208ページ/A5判
価格:1,694円(税込)
ISBN:978-4910629063
購入方法:下記オンラインストアにて販売
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あなたの「心が動くマネジメント物語」大募集!
私たちFeelWorksはマネジメントの喜びを広く社会に伝えていきたいと考えています。
あなたが誰かに伝えたいと思った”心が動くマネジメント物語”のご投稿をお待ちしています!
たとえばこんな経験はありませんか
<上司の方>
◆部下の大きな活躍や成長に立ち会えた体験
◆部下への感謝のエピソード
◆部下との信頼関係が生まれた瞬間
<部下の方>
◇上司が成長意欲をしっかり受け止めてくれた経験
◇気持ちに寄り添って相談しやすい空気を作ってくれた上司の話
◇上司のアドバイスが視点を開いてくれたストーリー
など、あなたが誰かに伝えたいと思った”心が動くマネジメント物語”のご投稿をお待ちしています!
ご感想・メディア書評
同志社大学 名誉教授 太田肇 様
どうして部下の心のカギを開けたのか
どこの組織でも心の壁を閉ざしている者が一人か二人はいる。いくら説得しても、甘い言葉を投げかけても心を開かない。多くの場合、それは管理職が自分の感情だけで部下に接しているか、マネジメントのテクニックに走っているからだ。管理職が本心から相手の立場に立ち、本音に迫ったとき、相手の態度は劇的に変わる。本書は著者が長年の経験でとくに象徴的な事例をもとに、何が、どのようなアプローチが相手を動かしたかをわかりやすく紹介している。通常のマネジメント本より一段深いところで、マネジメントの要諦を述べた物語である。
一般財団法人労務行政研究所 理事 荻野敏成 様
著者デビュー20周年、ならびに40冊目の出版、誠におめでとうございます。まさに偉業であり、私が知りうる限り、特定の領域で、1年に2冊ペースで出版する人はあまり知りません。拝読させていただきましたが、時代を象徴するテーマ選定と、実話に基づいたストーリー展開でさくさく読み進められました。描写が非常にリアルで引き込まれる一方で、「作中で描かれているような内容を実際に追体験してみないと、管理職としての矜持や醍醐味は本当の意味では分からないのだろうな」と、しみじみと感じるものがありました。本書は、1回読んで全体のアウトラインが分かり、2回目で真意がつかめ、さらに時間を置いて3回目に読み返すと、深く腹落ちできると思いました。まさに「読書百遍義自ずから通ず」を体現した本だと思いました。根っこの問題意識は変わらないという確かな軸を持ち、それをブラさずに追求し続ける姿勢は、前川さんだからできるのだと思います。社会をより良く変えていこうとする熱い情熱と、現場感覚に裏打ちされたアプローチの数々には、ただただ尊敬と感銘を覚えます。前川さんがこれまでの書籍で展開されてきた鋭い問題提起は、現代の社会や日本企業が抱える本質的な課題を浮き彫りにしてくれます。今回の書籍もそうでしたが、私自身、深く考えさせられるとともに、多くの気づきをいただきました。
白潟総合研究所株式会社 ファウンダー会長 白潟敏朗 様
部下のマネジメントは対象が感情を持った人間なので難易度が超高い!自身の失敗経験を通じ猛省し、再発防止に努めることでマネジメント力を習得するのが王道だと思います。リクナビの元編集長であり(株)FeelWorks前川社長の著書「心が動くマネジメント物語」には18人の上司の失敗から成長した感動の物語が掲載されています。他人の失敗から学ぶのもマネジメント力UPのひとつの方法、一読をおススメします。物語を読みなら泣いてました!まさに心が動く物語ですね!
一橋大学 名誉教授 ソーシャル・イノベーション・スクール(CR-SIS)学長 米倉誠一郎 様
またまたあたらしい本、「心が動くマネジメント物語」をありがとう。確かに、心が動かなければダイナミズムは生まれないね。感謝。しかも管理職は楽しいよね。要するに戦闘能力を磨く、成果を上げる、こんなダイナミズムはないな。
PHP研究所 THE21編集長 中村康教 様
多くの識者やメディアが「管理職は罰ゲーム問題」を取り上げてきたが、いまもその状況はほとんど改善していない。この問題の解決は難しいのではないか……そう心が折れかけている人も実は少なくないだろう。でも前川さんは違う。まったく諦めていない。それどころか「このままではいけない、なんとかしなければ」とますます燃えている。そして「物語形式で心に訴える」という従来にないアプローチの本書を出版された。なるほど、こういう伝え方もあったか!諦めるのはまだ早い。現役管理職や管理職予備軍はもちろん、「管理職は罰ゲーム問題」という大きな壁を打ち破るべく、日々奮闘している人たちにも勇気を与えてくれる一冊です。
匿名の新聞記者による書評
印象的で感動的な事例がこれほど詳述されていることに、まず驚きました。それだけ、前川さんが「現場主義」に徹していること、加えて事例を論理に昇華させたうえ、それを解決・対策にフィードバックする循環の取り組みを続けてこられた結果なのだろうとも思いました。読者は豊富な例の中に、いつしか自分の立場を置いて読み進めるのではないでしょうか。そうそうとうなずき、納得することは、「自分ならどうするか」を考えるトレーニングにもなるのでしょう。類似案件での対応を誤り、苦い思い出がよぎる方もいるかもしれません。いずれも、職場という誰もが身を置く場所で、どう考え、どう振る舞うかという点において、紹介された事例は決して他人のことではないからです。「上司としての自分のこと」「目の前にいる◎◎さんのこと」と受け取るからです。「愛他主義」「関係の質」「成果を急がず」といった、珠玉の言葉が並びます。転職希望者を送り出す、という事例については、私自身、これほどの包容力を持てるだろうかと思いましたが、読み進めるうちに、「結果として選ばれる会社になる」というサジェスチョンに、なるほどと合点しました。「保守的な組織」→「挑戦する組織」にという大転換を、苦労しながらやり遂げた管理職の喜びはいかほどかとも思いました。出社しにくい若者の動きを「全員に伝える」という工夫にも、私自身、そこまで徹底できていなかったと反省をしながら読みました……通底しているのは、「育てる」という意識なのでしょうか。親として、子どもを一人前に育てるのは大変なことです。時間もかかります。コスパが当たり前の現代が少子化という課題を抱えているのは必然なのかもしれません。でも、若手を育てる喜び、組織を活性化するやりがいは、経験してみて分かることです。そして、育てる側だった親(=上司)もまた、一息ついたころ、自身もが成長していることに気づきます。「育てる」は時間がかかるし、苦労も多い。でも、追い詰められているのは自分だけじゃないという気づき、行動するためのヒントを優しい言葉でちりばめているのが、「心が動くマネジメント物語」。多くの管理職に読んでほしいと思いました。
『【書評】「心が動くマネジメント物語」』
(2026年6月3日【本ナビ】本のソムリエの一日一冊書評)
<要約と感想レビュー>
若くして管理職となった人の失敗パターン
リクルートで「就職ジャーナル」「リクナビ」などの編集長を歴任し、2008年に独立。500社以上の企業で「上司力研修」を行ってきた著者が、上司の仕事のコツとやりがいを18のストーリーで解説した一冊です。著者がストーリーという形式を選んだのは、部下の心の動きは、論理や理屈で説明しきれない部分があるからです。なぜ部下がある日突然心を開いたのか、なぜ問題社員が変わったのか。そのプロセスは、理屈では説明しきれないものがあるのです。よくある上司の失敗は、まじめで成績優秀だったがゆえに若くして管理職になった人が、自分の成功パターンを信頼関係ができていない部下に押しつけて、抵抗されてしまうパターンです。部下に求められるのは実務遂行のための「テクニカルスキル」ですが、管理職に求められる中核スキルは部下を育て活かす「ヒューマンスキル」です。プレイングマネジャーから部下の心を動かすマネジャーになれるのかどうかが、新任上司の壁なのです。「職責意識が高い上司ほど、「正しいやり方を教えなければ」と経験則をもとにした指導に勤しみますが、部下には一方的な押しつけやマイクロ・マネジメントに映り、心の離反を招きます(p46)」
部下とのラポールの深め方
著者は若手社員に向けて「勉強会に1万円払うなら、上司と3回飲みなさい」と言っています。上司から部下を飲みに誘いにくい時代だからこそ、部下から上司を誘うという「逆の発想」です。そして上司へのアドバイスは、部下とのラポール(信頼関係)を深めるために傾聴することです。本書の「物語6」では、上司が反発するシニア部下の文句と罵倒を3時間聴き続けるという場面が描かれます。上司はそれを否定せず、解決策を提示せず、ただ聴き続けること3時間。それだけで、年上部下が味方に変わったというこの事例は、傾聴の力を説得力を持って伝えてくれるのです。「不満をすべて吐き出させ、それを否定せずに受容することで、部下の中に「この上司は自分の感情を受け容れてくれた」という実感が生まれ、ラポールの土台が作られたのです(p75)」
上司として想いを伝える
「物語18」では、飲食店の副店長が率いる落ちこぼれチームの変革が描かれています。新店舗の立ち上げという大事な局面で、メンバーのほとんどがやる気がないのです。副店長は毎朝出店準備の前に1時間の全員ミーティングを設けます。「せっかく自分たちの思い通りに新しい店舗をつくれるんだ。皆で力を出し合っていい店をつくっていこう」と言い続けることで、スタッフが一人、また一人と変わっていくのです。情熱と期待を言葉と行動で示し続けること。それが落ちこぼれと呼ばれたチームを一つにまとめていく。ドラマのようですが、そうした体験をできる可能性があるのが上司という役割なのです。「上司の仕事にかける情熱と一人ひとりに期待し続ける姿勢が、どれほど人を前向きに変えるかを物語っています(p188)」
人の心というのはわかるようでわからない
本書を読み終えて感じるのは、上司の仕事に「これが正解」という絶対的な答えはないということです。厳しく鍛えることで育つ部下もいれば、脱落する部下もいます。手取り足取り教えることで伸びる部下もいれば、甘やかしになる場合もあります。著者が管理職に求めるのは、自ら動くプレイングマネジャーから人の心を動かすマネジャーへの脱皮であり、部下一人ひとりに合わせてやり方を柔軟に調整できることなのです。それは理屈ではわかっていても、実際にはどうすればいいのかが見えないという人に、本書は18のストーリーで応えています。管理職になったばかりの人も、管理職として行き詰まりを感じている人も、どれかの物語に自分の姿を重ねることができるでしょう。
前川さん、良い本をありがとうございました。
<この本で私が共感した名言>
・勉強会に1万円払うなら、上司と3回飲みなさい(p25)
・自ら動くプレイングマネジャーから人の心を動かすマネジャーへ脱皮しよう(p195)
・管理職の役割を再定義する動き・・・プレイングマネジャーからプレイヤー業務を除外してマネジャー業務に専念させたり、部下の人事評価における部長の第二考課を廃止し課長の考課に一元化するなど、現場管理職の裁量権限を拡大(p195)
『通信文化新報様 新刊紹介 「心が動くマネジメント物語」』 2026年6月15日
近年、若者の早期退職が増えているとともに、管理者になりたがらない若者が8割を占めているという。組織の中で管理者になるということは、彼らにとって「罰ゲーム化」しているからである。管理者になったところで急に給料が上がるわけでもなく、責任だけを背負い込むことになる現実がそうさせているようだ。しかし、組織の中でマネジメントをして成果を上げ、部下を育てることで人材育成の喜びを実感することこそが会社人としての喜びであり、本書は「管理者は最幸の仕事である」という観点から、どうすれば部下の心を動かすことができるかを解説する。そのための方法論をSTEP1からSTEP6までに分類し、「6つの上司力」として、実際に会社内で起きたエピソードを紹介しながら人と組織の改革について論じている。まずSTEP1では、「上司と部下の絶対的な信頼関係」の考え方を説く。現代は昭和型の飲みニケーションや職場単位での旅行などが減少し、上司と部下のコミュニケーションが希薄になっている。すると当然仕事だけの付き合いになり、上司は部下を指導しているつもりが、いつの間にか自分のやり方を押し付けているだけになってしまう。部下の成長を願うのであれば、部下を一人のかけがえのない存在として尊重し、その成長を心から願う「愛他主義」の姿勢でいなければならない。本書中のエピソードでは部下がミスをしても、それに対して叱責するのではなく、まずは一緒になってお客さまの迷惑を回避する話が紹介されており、正しいエネルギーの使い道を説いている。部下を思う気持ちがあれば、上司から部下に歩み寄り、強い信頼関係を築くことができる。そしていったん信頼関係ができれば、その後多少のすれ違いはあっても絆を結び直すことができる。損得勘定を抜きにして、まずは部下に寄り添い、絶対的な信頼関係が必要なのである。STEP2では、部下の意見を聞く大切さについて、「傾聴の徹底」を強調する。業績を上げる上司は熱血漢タイプの場合があり、一方的に自分のやり方を部下に押し付け、部下は必死に目標に向かって邁進する。そしてそれが達成するとあたかもすべてが自分の力量の成果と思ってしまい、部下が何を考えていたかが見えなくなる。目標を達成した祝賀会で、女性社員が管理者におしぼりを投げつけ、「自分たちの気持ちを全然理解しようとしていなかった」と嘆く実例で、管理者がプレーヤー感覚でいることの危険を解説している。部下の話に傾聴する姿勢が欠落していると、上司と部下の乖離が大きくなってしまう。ただ単に話を聞くだけでなく、適宜問いかけをしながら聴くことで、両者の立場が接近し、やがて部下は自発的な行動を起こすようになる。次にSTEP3では、仕事をするにしても、何のためにするのか目的を明確にする必要がある。「仕方なくやる」のか「意欲を持ってやるのか」、他に何か目的があってやるのか、そこを明確にしないままだと、社員全員が何のために仕事しているのか理解せず、組織が沈滞してしまう。ゴールをはっきりさせることで組織が活性化するのだから、上司が仕事の目的や意義を明確にし、それを部下に浸透させることも重要だ。上司の役割は仕事を割り振ることだけではなく、目的や意義を語り続け、部下のやる気を喚起してチャレンジさせることにある。そこに自走する強い組織が生まれると著書は強調する。続くSTEP4では、小さなキャリアを作り、一段ずつ着実に階段を上がっていく重要性を説いている。当然組織には目標があり、社員個人にもある。そこでもしメンタル不調などで仕事自体のハードルが高い場合、いきなりゴールラインである目標に到達することはできない。もし社員が出勤できないのであれば、まずは出勤の練習から始め、少しずつ体を慣らしていく、つまりは小さなステップを一段ずつ上がっていく練習が必要だ。そのステップを設計するのが管理者の仕事となる。そしてやがては仕事を単純な「作業」ではなく、目的意識を持って取り組む「仕事」にすることで部下は成長していく。こうした個人別の設計書を作って実践させるのも管理者の仕事なのである。そしてもう一つ大切なのは、社員が仕事を通して「誰かの役に立っている」実感をすることだ。その考え方をSTEP5で解説している。例えば工場内で比較的簡単な仕事をしていて、休みも自由に取れるとする。そして社員番号の数字で管理されていた場合、その社員は仕事にやりがいを感じるだろうか。誰でもできる仕事で、自由に休暇を取ることができ、職場のリーダーから数字で呼ばれるとしたら、「別にこの仕事は自分じゃなくてもいい」と感じるはずだ。この書では、転職して自分のスキルを活かし、人に感謝されることで仕事に喜びを感じた例を挙げている。要は自分ならではの働きによって「誰かの役に立っている」実感が仕事には必要ということである。小さくてもいいから他者からの承認の積み重ねが仕事への意欲を引き出す。最後のSTEP6では、いかに「社員一人ひとりを活かす組織作り」をするかである。実例として、飲食店での新規店舗オープンが取り上げられている。その店舗に割り当てられたのは、それまでの職場での成績不振者や問題行動を起こす社員ばかりだった。当然最初からやる気がない。店長が個人対話してもネガティブな回答ばかりで皆後ろ向き。それでも毎日根気よく呼びかけ、意見を募っていたら次第に様々なアイデアが出てくるようになり、その結果オープン初日は大盛況となった。つまり前の職場では認められず、やらされ感だけで集った社員でも上を向いて一つになったことで、大きな成果につながった事例である。戦力外社員の集合体でも、当事者意識が働けば最強チームになることができる。本書はこうした具体例を挙げながら管理者がすべきことを解説し、管理者になることが決して罰ゲームではないことを説いている。私たち会社員は、ややもすると現状で満足してしまい、次のステップに上がることを躊躇しがちになる。実際、社員の昇進意欲が低下しているのは事実であり、それは国内外の各種調査結果を見ても明白である。2022年のデータでは、主要18か国の中では、日本は管理者志望者の割合がなんと最下位。国内調査でも一般社員の77%が「管理者になりたくない」と回答している。その理由「責任が重くなる」「自分には向いていない」「メリットがない」「家庭との両立が難しくなる」などネガティブな回答ばかり。彼らは「マイペースで生活したい」「責任を負わないで過ごしたい」「自由時間を取られたくない」との思いが強い。しかし、こうした風潮が今後ますます強くなった場合、日本の社会構造自体に悪影響が及ぶ。そこで、管理者を魅力的なものにするためには、管理者の定義を見直す必要があるとしている。そのためには自らが動くプレイングマネジャーであることをやめ、人の心を動かすマネジャーに脱皮することである。管理者は自分が動くのではなく人を動かすのが仕事だ。その魅力を感じ取れれば、管理者本来のあるべき姿に近づくことができ、その人にとって「管理者は最幸の仕事」となる。本書は、現在管理者としての方向性を見失っている人や、これから管理者になろうとする人の道しるべになり、どの方向を向けば明かりが見えるかを指南する書籍である。
HRM Magazine 人事担当者のためのウェブマガジン HR BOOKs 書評 2026.7
管理職育成の第一人者である著者が18のストーリーで“マネジメントの喜び”を語る。「上司力」の6つの要素(①上司と部下の絶対的な信頼関係を育む,②アドバイスより傾聴を徹底する,③仕事の意義や目的を理解させる,④小さなキャリアの段階を作る,⑤誰かの役に立っている実感を演出する,⑥一人ひとりを活かす組織を完成させる)につき,各3話ずつ物語に続けてポイント解説を加えていく構成だ。そんなに素直に都合よく人は育つだろうかと疑いたくなるような話のほか,上層部や周囲の非難から部下を信じて守った結果,後年その部下が大きな成果を結実させるに至ったオチなど,涙腺がゆるんでしまうような展開もある。仕事を「やらなきゃ」から「したい」と部下が変わる,作業をこなすだけだった部下が自分の仕事だと目覚める,徹底的な傾聴を機に年上部下の態度が変わる,そうした瞬間にどのような作用が働くのかがリアリティを伴って理解できる。すべてが実話であり「管理職は罰ゲームなんかではない」と断言する著者の熱量は高い。

















