あなたの「心が動くマネジメント物語」投稿例

こちらでは、スペシャル企画”あなたの「心が動くマネジメント物語」大募集”にご投稿いただく際の投稿例を記載しています。

 

◎できるだけ具体的なエピソードを教えてください。

◎ご投稿内容は、弊社にてタイトルや中見出しを挿入し、プライバシー保護と文章整理のための編集や文字量調整などをさせていただく場合があります。

◎例は約2000文字ですが、500字~1000字程度でも結構です。

 

「心が動くマネジメント物語」投稿例

 ~人事評価面談で不満をぶつけた上司に感謝したお話~

 

10年前に、私は営業の仕事を希望して就職し、今の会社で張り切って働き始めました。

魅力的で優しい先輩社員にも恵まれ、顧客とのコミュニケーションも良好。学生時代から人付き合いが得意で誰とでも仲良くなれ、リーダーシップとコミュニケーション力に自負がありました。ところが、営業成績は一向に振るいませんでした。顧客にもかわいがられ、よい関係になるのに、売り上げは全く伸びないのです。顧客の担当変更があったり、経験の多い先輩に指導を受けたりしましたが、なかなか成績は上がりません。

 

「天職と思っていた営業なのに、ぜんぜん結果が出ない...」

 

さすがの私もだんだん辛くなってきました。

もがきながら入社2年目になるタイミングで、社内イベントで知り慕っていた方(Aさんとします)が、直属上司の課長に着任されました。Aさんは人望も厚く、営業経験も豊富な頼れるリーダー。

 

「きっとAさんのマネジメントのもとなら営業スキルも磨けるはずだ!」

 

私はモチベーションを高めました。

同じタイミングで社内プロジェクトのメンバー公募が始まり、Aさんに自分のやる気を知ってほしい気持ちもあって、応募。

 

ところが、個人の営業成果も振るわないなかで、プロジェクト業務も重なりオーバーフロー。今までできていた仕事まで遅れ気味となってしまい、負のスパイラルに陥りました。そして、訪れたAさんとの人事評価の面談。…なんと5段階の最低ランクをつけられてしまったのです。私はショックで声もでないほどでした。たしかに営業数値は振るわないものの、自分はこんなにも頑張っている。どうしても納得がいかず、慕っていたAさんだけに泣いて訴えました。「たしかに営業成績は悪かったけれど、努力は認めてもらえないんですか?」そして、延々と自分の気持ちをぶつけたのです。それまで溜まっていた気持ちもあって、たぶん2時間以上も涙ながらに訴え続けました。Aさんは根気よく聴いてはくれましたが、人事評価を変えてくれません。思い余った私は、つい口走ってしまいました。

 

「Aさんは部下のこと、ちゃんと見てくれてないじゃないですか!」

「こんな状態では、仕事を続けられません!」

 今思うと、本当に恥ずかしいのですが、感情を爆発させてしまったのです。

 

するとAさんは、冷静にこう話されました。

「それは自分次第だ。仕事を続けられないと思うなら、仕方ないよ」

 

ハッと我に返りました。本当は会社を辞めるつもりなんてなかったんですが、Aさんなら慰めてくれるとばかり思っていたからです。そして、やっと気づけたんです。自分はただ甘えていただけだったこと。周りがかわいがってくれることが仕事ができることと勘違いしていたことに。

 

Aさんの厳しくもあたたかい言葉から、「自分は営業のプロになるにはまだまだ。欲張らず、まずは任された仕事の責任が果たせるよう、一歩ずつ努力していこう」という姿勢に、切り替わりました。

 

ところが、追い打ちをかけるように、営業部署から仕入れ部門へと異動辞令が出たんです。気持ちを入れ替え頑張ろうしていた矢先だけに、三行半を突き付けられたようで大きなショックでした。

 

ただ、上司のAさんにもらった次の言葉は、心に響きました。

 

「思い切り環境を変えるチャンスだ。視野を広げるためのいい機会にも必ずなるはずだ。新天地で成果が出るように頑張ってこい。また一緒に仕事ができる日を楽しみにしているよ」

 

新しい部署でしばらくは落ち込んでいましたが、異動先で先輩や同僚と話をするなかで、あるときふと思いました。

「未練の残る営業部を羨ましいと思っているだけなんて、つまらない」

「自分のいる部署が一番カッコイイと思ってもらえるように、仕事をしよう」

この異動は凝り固まった自分の考え方を変えるチャンスだと、やっと腹落ちしたのです。

愛情あるAさんからの「今は視野を広げる時だ」とのアドバイスの意味がやっとわかったんです。

   

不思議なもので、そこから仕事に対しても周りの人たちに対しても力みすぎずに、素直に教えを乞えるようになりました。すると、徐々に成果も出始めたんです。仕入れ部門のなかで唯一営業の最前線を知っていることも、強みになりました。もともと人間関係づくりは得意だったので、社内でのやりとりも円滑に。期待に応えるよう工夫すると、相手が喜ぶ。相手が喜ぶと、さらに頑張ろうと力が湧いてくる。一度好循環に入ると、全てが上手く回り始めたのです。私の仕事ぶりは社内でも話題になり、社内報でも取り上げられることに。そして、異動から1年後にはなんと社内の半期業績MVPに選ばれたんです。

 

いま私は10人の部下を持つ管理職になっています。正直、マネジメントがこんなに大変なものかと思うこともあります。だからこそ、Aさんが感情的になっていた当時の私に向き合い、愛情をもった厳しい指導をしてくれたことに感謝するばかりです。