第22回 株式会社ダンクソフト

地方サテライトオフィス開設、育休制度、複業etc. 「言い出しっぺ制度」で自由な働き方を認め、変化し続けるネットワーク型企業(後編)

経営改善やビジネスマッチングに関するコンサルティング、地方創生ICTサービス、WEBデザイン、システムソリューションなどを幅広く手掛けるICT企業。1983年創業。1986年に星野晃一郎現社長が代表に就任。早くから育児休業制度の整備をはじめとする女性活躍推進に取り組むなど、社員の意見を大切にした働き方の追求を進める。2011年には徳島にサテライトオフィスを開設し、話題に。「平成22年度東京ワークライフバランス認定企業」、「ダイバーシティ経営企業100選(2014年)」、「テレワーク推進企業等厚生労働大臣表彰【輝くテレワーク賞】(2016年)」など受賞歴多数。2017年3月現在、社員数28人、そのほかパートナーシップ契約6人。

◇ 前川孝雄の取材後記

山手線内のWEB企業が全国区のICT企業へ‐社員を信じて任せれば、

経営者の想定以上に会社は変われる。

今、多くの大企業が、喫緊の課題として「働き方改革」に取り組んでいる。しかし、「働きやすさ」ばかりを追求して、「何のために」という視点が抜け落ちてしまうと、自律的な人材の育成にはつながらない。社員の側に権利意識ばかりが強くなり、企業は、自分たちが作った制度に苦しめられることになる。結果、企業としても個人としても成長が阻害されてしまう。

 

ダンクソフトが、言い出しっぺの社員が次々に生まれるアメーバのような運動体であり続けているのは、「働きやすさ」の前に、「楽(=Play)」という理念に沿って、この「何のために」をしっかりと共有しているからだ。明確なモチベーションがある人にとっては、自由な環境は強力な後押しになる。このような人が集まった組織は、成長し、変化し続けることが可能だ。

 

当たり前だが、時代の変化に対応できなければ、企業の存続は難しい。そして変化のヒントやきっかけは、現場にある。ダンクソフトは、ICTという比較的新しい業種ながら、1983年の創業からは30数年以上の歴史を持つ企業だ。にも関わらず、常に社員のニーズから生まれた改革を社員自身の手でためらいなく実行することで、期せずして時代の変化に先行して変わり続けてきた。世間がワークライフバランスを唱える前に育休制度を導入し、働き方改革が社会的なトピックになる前に、サテライトオフィスや在宅ワークを実践した。この事実は、改革に取り組む多くの企業にとって大きなヒントになるはずだ。

 

3.11をきっかけにサテライトオフィスに取り組んで以降、それまで、顧客はすべて山手線内にしかなかったという同社は、全国規模で事業を展開するようになり、事業内容そのものも大きく変わっていった。また、採用できる人材の幅が広がり、社員の平均年齢は震災前の28歳から44歳にまで上がったという。わずか数年で、経営者ですら想定していなかった変化が起きているのだ。

 

トップが計画を立てて命令するだけでは組織は変わらない。本当に大事なのは、現場のアイデアやパワーを信頼し、任せることができるかどうかだ。そして、そのような組織でこそ、主体的に考え、自律的に行動できる人材が育っていくのだろう。

 

構成/伊藤敬太郎


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