第21回 株式会社ダンクソフト

地方サテライトオフィス開設、育休制度、複業etc. 「言い出しっぺ制度」で自由な働き方を認め、変化し続けるネットワーク型企業(中編)

経営改善やビジネスマッチングに関するコンサルティング、地方創生ICTサービス、WEBデザイン、システムソリューションなどを幅広く手掛けるICT企業。1983年創業。1986年に星野晃一郎現社長が代表に就任。早くから育児休業制度の整備をはじめとする女性活躍推進に取り組むなど、社員の意見を大切にした働き方の追求を進める。2011年には徳島にサテライトオフィスを開設し、話題に。「平成22年度東京ワークライフバランス認定企業」、「ダイバーシティ経営企業100選(2014年)」、「テレワーク推進企業等厚生労働大臣表彰【輝くテレワーク賞】(2016年)」など受賞歴多数。2017年3月現在、社員数28人、そのほかパートナーシップ契約6人。

◇ やりたいことに自由に挑戦できる「言い出しっぺ制度」を徹底

Photo by DUNKSOFT / Photography by Yojiro Kuroyanagi

もちろん、ダンクソフトの社員としてもやりたいことに取り組むことはできる。同社は「言い出しっぺ制度」を徹底(かつて、育児休暇制度を発案し、実際に制度設計をしたのも、当事者である妊娠した女性社員)。やりたいことがあれば提案し、社内に賛同者が集まれば、上司への正式な申請などは経ずともプロジェクト成立。提案者が中心になって新規プロジェクトがスタートする。

 

スマートオフィスが各地にできたことで、それぞれのメンバーが地元の課題解決のために動く事例も増えてきた。今では、同社のエンジニアたちが、行政やNPO、他企業とコラボレーションした地域の雇用創出プロジェクトやIT教育プロジェクトなどにも取り組んでいるという。ダンクソフトの事業内容は、もはやICT企業の枠を超えたものになっている。

 

現場発のアイデアを次々にプロジェクト化し、業務改善や働きやすい環境作りをスピーディに実現、さらにそれをビジネスにまで発展させるというサイクルを同社が実現できるのは、明らかに社員の自主性・自律性が高いからこそ。「自由度の高い働き方」はこの自主性・自律性とかみ合ったとき、最大のシナジー効果を生み出すという好例を同社は示している。

その原点にあるのは同社が掲げる「楽」という理念だ。

 

「単に『楽をする』ということだけではなくて、音楽やスポーツを楽しむときの『Play』の精神ですね。そういう意味で、楽しく仕事をしてもらうことを大切にしています」

 

人は、やらされている仕事は苦痛に感じるが、やりたい仕事なら、前向きかつ意欲的に取り組める。一般的に「やりたいことなんて会社ではできない」「どうせダメだと言われる」と思い込んでいる会社員は多いが、ダンクソフトには「楽」を追求する人を制約するルールも空気もない。問われるのは、仲間が賛同してくれるおもしろいアイデアかどうかという点のみ。だからこそ仕事を楽しむことができる。

 

もう一つ、同社が掲げる理念として印象的なのが、「Love your life,love your time(時間は人生のために)®」という言葉だ。プライベートを充実させるために効率的に仕事をしようというのが同社の基本的な考え方。「会社のため」ではなく「自分のため」なのだ。結果として、豊かなプライベートで得たものが仕事に還元されていく。これも理想的なサイクルといえるだろう。

◇ 失敗しても「ナイストライ!」。重要なのは挑戦するマインド

このような理念を本当の意味で共有し、実践するには、トップダウンのピラミッド型組織では難しいと板林氏は語る。

「当社は、誰かが言い出しっぺになって、賛同する仲間が集まり、プロジェクトが立ち上がり、終わったら解散して、また誰かが言い出しっぺになって…というアメーバのような運動を繰り返す “ネットワーク型組織”。社長やマネージャーは自律的に動く社員をエンパワーメントする役割を担っています。ですから、失敗をしても、挑戦したことについては必ず『ナイストライだった』と讃えるんです。挑戦する気持ちがなくなったら当社は終わりですから」

このようなネットワーク型組織を形成するポイントは、一つには、トップがマネージャーに権限委譲し、マネージャーは現場のメンバーに任せること。そして、もう一つが「対話」だという。

「マネージャーと現場との対話は非常に大切だと考えています。例えば、入社時に、当社が掲げる理念に沿って何がやりたいのかは確認しますが、それも1年1年変わっていきます。日常的な対話を通して、個人が抱える課題、周囲で起きている課題を常にすり合わせることで、初めて適切なエンパワーメントができるんです」

言い出しっぺ制度が同社の原動力とはいえ、誰もが新規プロジェクトの提案者であることを強制されるわけではない。多様性を重んじる同社では、開発業務に専念したければ、そのように働くこともできる。一方、ダンクソフトで過ごすうちに、先輩や仲間が立ち上げたプロジェクトが次々に動き出していく環境に刺激されて、自然と言い出しっぺになる社員もいるという。

単なる制度や研修では、主体的・自律的な社員を育てることは難しい。理念を徹底することで醸成された、自由でワクワクするネットワーク型組織ならではの風土こそが、人を育てるのだ。

~後編へ続く~

構成/伊藤敬太郎


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