第1回 株式会社ベアーズ 

あなたのNo.2は誰ですか? 人を育てる連鎖を生み出す大家族主義経営

日本の家事代行産業のパイオニアであり、リーディングカンパニー。創業以来、社会に向けて「新しい暮らし方」「新しい雇用創造」を提唱。そこには高橋ゆき専務自身の原体験が大きく影響している。専務の夫であり創業者である代表取締役 高橋健志社長とともに、自宅兼オフィスの小さな清掃業からスタートし、現在に至るまで前期比2桁増のペースで売上を拡大。正社員数は約200人、登録スタッフ(ベアーズレディ)数は約4400人(ともに2016年2月現在)。全従業員の幸福を最優先とすることを企業理念に掲げ、大家族主義の経営を実践している。

◇ ”厳しい愛”で、上司は部下のライフプランにまで関わる

「暑苦しいほど愛ある経営」──株式会社ベアーズ 高橋ゆき専務のマネジメントテーマはこの言葉に集約される。職場だけのドライな関係ではなく、社員に対して、もう一人の母親として心からの愛情を注ぎ、それぞれの人生にまでコミットしていくのが高橋ゆき流の人材育成だ。

 

「ただし、私の愛は“優しい愛”ではなくて“厳しい愛”。必要なことは遠慮も躊躇もなくズバッと言います。それこそが“母の愛”なんです」

 

こうした思いを伝える機会の一つが、社員からの要望に応じて専務自ら登壇する「専務塾」だ。役職者から若手、新入社員まで、回ごとに対象者はさまざま。人気の講座テーマは「愛」、そして「時間」。まさに自分の子どもに生き方を教えるように“人”を育てていく。

 

また、ベアーズでは人事考課の際には、仕事、キャリアだけでなく、自分の人生における夢や目標を5年計画でまとめた“ライフプラン”の提出が必須だ。このライフプランには上司が赤ペンで修正を入れて、部下と一緒に未来を描いていくという。

 

「1年以内に彼氏を作って、2年で結婚して、3年で子どもができて、翌年には育休をとって、5年目に復帰。例えばそんなふうに人生計画を立てると、仕事で今何をしなければいけないかも、自分にいかに時間がないかもわかってきます。足下と星(夢)の両方を見ることで、人はやりがいをもって働くことができるんです」

◇ 成長のため、誰もが自分の代わりを任せられるNo.2を育てる

このように“子どもたち”とのかかわり方が深いからこそ、200人の社員全員を直接自分の手で育てることは難しい。そのため、社長や専務は20人程度の幹部の面倒は”棺桶に入るまで”徹底してみるが、その下のメンバーの育成は自分が育てた幹部たちに任せる。

 

そこで鍵を握るメッセージがある。

 

「いつも言っているのは『あなたのNo.2は誰ですか?』ということ。自分が次のステップに進もうと思ったら、自分の代わりを任せられる“No.2”の存在が必要です。そんな部下や後輩を育てなさいと。入社2年目からはそのことを意識してもらっています」

 

誰もが誰かのNo.2であり、自分のNo.2を育てている。この“No.2の連鎖”が一人ひとりの自覚と自律を育んでいるのだ。また、若手の成長を促す仕掛けはほかにもある。

 

「その後の成長のためにも大切なのは3年目。だから、新卒・中途、部門を問わず3年目の子たちで“ジュニアボード”を結成させて、次世代のベアーズを作るためのアイデアを考え、実行してもらっています。例えば、現場スタッフのベアーズレディを社員がおもてなしする『愛と感謝の祭典』というイベントはジュニアボードから生まれたものです」

 

人を育て、評価する上で大切にしているのは何よりも“心の健やかさ”だと高橋専務は言う。コアにあるのは会社の志を集約したベアーズフィロソフィーであり、ベアーズDNAだ。志が共有できていれば、それぞれの生き方ややり方は多様で構わない。個性を尊重し、伸ばしていく。それこそが、ベアーズ流の大家族主義であり、人を育てる要諦なのだ。

◇ 前川孝雄の取材後記

志で一枚岩となった多様性が育成の源

多様性を尊重しながら人を育て企業として成長する。ベアーズの大家族主義はこの難題に対する一つの答えだ。生き方は多様でも社会貢献への志では一枚岩となる。だからこそ、上司は部下の人生の夢や目標にまで深く関わりあえる。さらには人に愛情を注ぎ育てることが、自身の成長にもつながっている。この“No.2の連鎖”が風土になっているからこそ、自律型人材が次々に生まれ企業としても急成長を遂げているのだろう。

 

構成/伊藤敬太郎


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