第20回 株式会社ダンクソフト

地方サテライトオフィス開設、育休制度、複業etc.「言い出しっぺ制度」で自由な働き方を認め、変化し続けるネットワーク型企業(前編)

経営改善やビジネスマッチングに関するコンサルティング、地方創生ICTサービス、WEBデザイン、システムソリューションなどを幅広く手掛けるICT企業。1983年創業。1986年に星野晃一郎現社長が代表に就任。早くから育児休業制度の整備をはじめとする女性活躍推進に取り組むなど、社員の意見を大切にした働き方の追求を進める。2011年には徳島にサテライトオフィスを開設し、話題に。「平成22年度東京ワークライフバランス認定企業」、「ダイバーシティ経営企業100選(2014年)」、「テレワーク推進企業等厚生労働大臣表彰【輝くテレワーク賞】(2016年)」など受賞歴多数。2017年3月現在、社員数28人、そのほかパートナーシップ契約6人。

◇ 3.11を契機に徳島にサテライトオフィスを開設

Photo by DUNKSOFT / Photography by Yojiro Kuroyanagi

ダンクソフトが徳島県の山間部に位置する神山町にサテライトオフィスを開設したのは2011年のこと。東日本大震災と福島第一原発事故、およびそれに伴う計画停電などの状況に対応するため、事業継続の観点からスタートした取り組みだった。

 

同社エグゼクティブマネージャーの板林淳哉氏は当時をこう振り返る。

 

「当社は以前からそうだったのですが、トップダウンでものごとを決めるのではなく、現場から出てくるニーズやアイデアが改善・改革の原点になっています。神山町のサテライトオフィスのときも、マネージャーを含む現場全員で議論して、『やってみよう』と。実は社長は動き出した後から知ったくらいで(笑)。当初は“働き方の多様化”を意識して始めたことではなかったんですが、コミュニケーションやセキュリティなどの観点から、サテライトオフィスでのテレワークが可能だとわかったことで、当社の働き方に関する取り組みも、ビジネスそのものも大きく広がっていくことになったんです」

 

今、準備中の拠点も含めて国内外に10のスマートオフィス(サテライトオフィス)がある。場所があり、インターネットがつながればローコストでスマートオフィスは立ち上げることができる。基本的には、「そこに当社で働きたい人、働いてほしい人がいればオフィスを作る」という方針だ。そのほか育児中の女性社員など、在宅で働く社員も多数。全社員のうち、東京・日本橋の本社に勤務するのは半数ほどだという。

創業者の上田研二氏が、東京ガス子会社の社長だった当時、新築マンションのガス機器点検などの仕事が突然舞い込むことが頻繁にあった。土日の依頼も多く、業者の確保にも苦労。社員が本業の合間に担当することも多かったという。

 

一方、東京ガスや関連会社をすでに定年退職していた上田氏の先輩たちは、話を聞くと暇をもてあましている様子。「それならばOBに手伝ってもらおう」と声を掛けたところ、「働いてもいいよ」という反応が多数返ってきた。そこで、もともと起業意欲をもっていた上田氏が、21世紀が初頭の2001年1月4日に立ち上げたのが、このユニークな社名の会社だった。

 

現場では人材が不足しているが、スポット的な業務のために新たに未経験の若手を採用し、教育するのではコストが見合わない。その点、知識・技術・経験を備えたOBであれば技術的な教育は不要なうえ、安心して任せられる。また、「毎日が日曜日」の定年退職者であれば、土日を含む急な仕事にも対応しやすい。シニアだからこそのニーズがしっかりとあったのだ。

 

テレワークに関しては、職場の人間関係をどう構築していくかなど、一般的にはさまざまな課題がある。ダンクソフトはその解決のために、Skype for Businessというサービスを使って、各地のスマートオフィスや在宅勤務中の社員の様子をパソコンの画面上で一覧できるシステムを導入。地理的には離れていても、お互いの顔がいつでも見られる環境を整備した。在宅勤務の場合は、サイト上で映像をONにすれば出社扱いになる。いわばネット上のバーチャルオフィスだ。

ただし、技術を導入すればOKという問題でもない。慣れないうちは「監視されているようで抵抗がある」という人も出てくる。

「そこがポイントですね、そもそも監視するのが目的ではなく、同じ場を共有するための仕組みなんです。だから、ここで『聞いてくださいよ~』なんて感じの雑談もしますし、同じ空間にいるような空気感をどう作ってくかというところを大切にしています。離れて働くからこそ、日常的なコミュニケーションの積み重ねによる結びつきが求められますから」

◇ 開発部門のマネージャーも徳島スマートオフィス勤務

この仕組みを導入したことで地理的条件に縛られない組織運営も可能になった。現在、開発部門のマネージャーは徳島スマートオフィス勤務。また、後述するが、地方在住社員による地域貢献型の新プロジェクトも次々に生まれている。自分の住みたい場所で生活しながら、マネジメントもできるし、自分のやりたい仕事に取り組むこともできるのだ。

同社では、前述のシステムのほか、本社・スマートオフィスがお互いにの実物大のリアルタイム映像をオフィス内に映し出すシステムも開発している。この技術を使えば、同じ空間にいる感覚は一層強くなる。

「私が神山スマートオフィスでその技術の実証実験をしているとき、本社の社員が、私宛の電話を受けて、『板林さん、電話です』と、うっかりスクリーンに映っている私に受話器を渡そうとしたんです。『おいおい、どうやって受け取るんだよ』と(笑)。でも、そのリアル感こそ私たちの目指しているところなんです」

もう一つ、“自由な働き方”を象徴する制度が「複業」だ。ダンクソフトでは、同社に所属しながら、ほかにも自分のやりたい仕事に取り組むことができる。「社会貢献活動」という緩やかな定義はあるものの、逆に言えば、それ以上の制限はない。複業先は特にNPO法人などに限っているわけではなく、何らかの社会貢献を志向していれば、一般企業勤務でも、自営でもOK。

「現在、複業をしているのはパートナー契約で働いているメンバーが中心ですが、自分でギャラリーを運営し、アーチストの活動を支援している社員も。どちらでどのくらい働くかといったことや評価に関しては、ケースバイケースなので、一人ひとりと話し合って柔軟に決めています。複業が当社の事業にメリットをもたらす面もありますから、なかなか一律のルールにするのは難しいですね」

複業に携わるメンバーは、異なるレイヤーをつなげる役割を果たしていると板林氏。働く人は自分の好きなことができ、会社にとってもシナジー効果が期待できる制度だ。

~中編へ続く~

構成/伊藤敬太郎


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